2017.04.12(08:19)
池の春
井伏鱒二の詩集です。
この中に 「歌碑」 という詩があります。
明るい月夜です
岡にのぼれば
万朶(ばんだ)の桜です
その木かげの
真新しい歌碑の刻字
「満月は
くるる空より・・・」
次は読めぬ
花かげにかくれ
頬打つ花吹雪に・・・
月に、桜に、石碑そして風。
ひんやりとした美しさ
真新しい、次が読めなかった歌碑に刻まれた詩を調べました。
満月は
暮るる空より
須臾(しゅゆ)にいでて
向かいの山を
照りてあかるし
中村憲吉
「次は読めぬ」の次の言葉は須臾(しゅゆ)でした。
須臾の意味は「しばらくの間」しばらくと言ってもすごく短い、一瞬に近い時間の長さのようです。
鱒二の詩にある「万朶の桜」は
「歩兵の本領」という軍歌の1番の歌詞に出てきます。
日本男児に生まれたからは潔く散れという歩兵の心得の歌です。
この時、鱒二は広島に疎開していてこの歌碑と出会い、
桜吹雪の中で「万朶の桜」を歌ったのかもしれません。
「万朶ばんだ」は多くの花の枝、多くの花 の意